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年金制度改正法が成立 106万円の壁を撤廃
社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する等の法律が6月13日、参議院本会議で可決、成立されました。当初の法案に自民、公明、立憲民主の3党による「将来の基礎年金の給付水準の底上げ」に係る修正案が盛り込まれています。
日本の公的年金制度は、2階建てとなっています。1階部分は、日本に住む20歳以上60歳未満のすべての人が加入する基礎年金(国民年金)、2階部分は、一定規模以上の会社等に勤務している人が加入する厚生年金です。基礎年金と厚生年金には、それぞれ「マクロ経済スライド」という措置が講じられています。マクロ経済スライドとは、賃金と物価による元々の改定率に被保険者の減少や平均寿命の延び等に応じて調整を加え、保険料等の収入と年金給付等の支出の均衡が保たれるよう、時間をかけて緩やかに年金の給付水準を調整する仕組みをいい、平成16年の年金制度改正で導入されました。
現行において、基礎年金のマクロ経済スライドに係る終了時期と、厚生年金のマクロ経済スライドに係る終了時期の見通しに著しいズレが生じています。これにより基礎年金の給付水準が低下するおそれがあるといいます。
改正後は、次期財政検証において、両者の終了時期の差異により、基礎年金の給付水準の低下が見込まれる場合、基礎年金のマクロ経済スライドと厚生年金のマクロ経済スライドを同時に終了させるため、必要な法制上の措置を講ずることとしました。
同時終了すると、基礎年金の給付水準低下を抑えることができます。同時終了の手段として、厚生年金の積立金を利用することが検討されるといいます。
また、同時終了した場合における基礎年金と厚生年金の合計額が、同時終了しなかった場合の合計額を下回るときに対する配慮措置も置かれています。
基礎年金の底上げ以外の改正項目については、当初法案と同様です。厚生年金・健康保険に係る短時間労働者の加入要件の見直しとして、賃金要件は公布から3年以内の政令で定める日から撤廃され、企業規模要件は令和9年10月1日から段階的に撤廃されます。賃金要件の撤廃により、いわゆる「106万円の壁」は解消されることとなります。